あの日あの時...あの場所で







程なくして始まったバーベキュー。


王凛の皆が楽しそうに騒いでる。


凄く良い匂いがテントの周りに充満していた。


あの焼いてる人...絶対暑いよね?


頭にハチマキみたいに白いタオルを巻いてる人が、鉄板の前でせっせと焼いてくれてる。


あんなに汗かいて大変そう。


私はお肉の入ってる皿をテーブルに置いて立ち上がる。


「どうした?」

隣の豪がこちらを見た。


「あ、うん。飲み物を」

クーラーボックスの方へ視線を向ける。


「持ってこさせるか?」

なんて言うから、

「良いから。自分で取りに行くし」

と慌てて顔の前で手を振った。


「そうか?だったら、好きなの選んでこいよ」

フッと口元を緩めると手に持っていた缶ビールを煽った。


「うん、行ってくる」

そう返して、小走りでクーラーボックスに向かう。




大きなクーラーボックスの中には、色んな飲み物が沢山入っていて、開けて驚いた。


「姫、何か居るの?」

「手が濡れるから俺達が」

寄ってきくれたメンバー達。



「ううん、大丈夫。ありがとうね」

と微笑んで、氷と水がたっぷり入ったクーラーボックスの中に手を入れた。


冷たくてひんやりとして、手がピリッと痺れた。


中から一本のソーダーを取り出した。



「これ、良かったら使ってください」

差し出された白いタオルを、


「ありがとう」

と素直に受け取った。


王凛のメンバーはヤンキーチックで恐持てだけど、皆親切な人達ばかりだ。


「これ、このまま借りてても良い?」

とタオルを見せたら、


「「「もちろんです」」」

と声を揃えて言われた。


ちょっと驚いてピクッと肩を揺らしてしまった。


「こらこら、瑠樹さんを脅かすのは止めてください」

背後から聞こえたのは、夏樹の声。


振り返れば、クイッと眼鏡のブリッジを指で押し上げながらこちらへと歩いていた。



「す、すいません」

「そ、そんなつもりじゃ」

焦ってる王凛のメンバー。


ちょっと可哀想。



「親切にしてくれただけよ」

だから、苛めないでね。と微笑む。


「冗談ですよ」

夏樹が笑う。


「だったら良いけど。じゃ、私行くね?」

そこに居る人達に手を振って目的の場所へと向かった。