あの日あの時...あの場所で








お茶とお饅頭を食べて、時間を持て余し始めた俺。


部屋の中も一通り見て回ったし、そろそろ出掛けちゃおうかね。


お姫様の観察に。

ほら、だってさ、隙を突くにも向こうの動向知りたいし。


未だに藤のリクライニングチェアーから動いてないキングを見る。

物思いに耽ってるんだよなぁ。


ま、声だけかけて出掛けるか。


「キング、俺ちょっと出掛けてくる」

その声にゆっくりと向けられたキングの顔は、くだらねぇことすんなよ!と言いたげで。


あらら、バレてる感じかな?

良いけどさ。



「...何時に帰る?」

興味無さげな顔してるし。

だったら、聞かなきゃ良いのにと思う。



「あ~っと、そうだな?二時間後ぐらい?」

腕時計を確認したらお昼を回った辺りだったし。

そろそろ、お姫様も休憩とかで動いたりするかなぁ。



「分かった」

そう言うとまた窓の外へと視線を戻したキング。

もう用はないって感じだし。

キング冷た~い!何て言うと、凍るほど冷たい視線をおくられるのが分かるので、俺は言わない。



「キングは行かない?」

返事は分かってるけど一応聞いてみる。


「ああ、行かねぇ」

うん、やっぱりねぇ。


「じゃ、出掛けてくる」

テーブルに置かれてたカードキーを一枚取って財布に忍ばせると部屋を後にした。



さてさて、お姫様はど~こかな?



旅館のロビーに隣接されてるコンビニで買ったサングラスをして、海水浴場を目指し歩き出す。

バイクで行くほどの距離でもないからね。


王凛高校の連中にはくれぐれも見つからないようにしないとな。


こんな所でバッタリとか面倒臭いし。


特に関西弁の大翔辺りには。


軽い足取りで、狼王御一行のテントを目指す。


もちろん、適度な距離を取って観察するつもり。


胸元にかけてある双眼鏡の出番だし。


今の俺って、どんな風に写ってんのかね?


サングラスをかけて、首から双眼鏡の男って...若干怪しいな。


まぁ、そこは俺の美貌でカバーって事でよろしく。


いつもキングの影に隠れてしまうけど、俺もそこそこイケてると思うしね。



おっ、居た居た、お姫様。

木陰から双眼鏡で、狼王のテントを観察する。


お姫様が狼姫になっちゃう前に接触するには、きっと今日しかない。


頑張るよ、俺。


炎天下の中、気合いを入れた。





圭吾side.end


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