あの日あの時...あの場所で






「うちのお姫様を見て、可愛くないとか本気で思うんやったら、自分ら目ぇ腐ってると思うで?」

大翔の言葉にいつの間にか集まってきてた王凛メンバーがウンウンと頷いてる。


いやいや、恥ずかしいことを声を大にして言わないでほしい。


「そうですね。貴女達には眼科を紹介しましょう」

夏樹まで何を言ってるの?


二人の攻撃にギャラリーの女の子達は相当数消えていったけど、残ってる強者も居るのは事実で。


だけど...私は既に彼女達への興味は無くなってる。

だって、だんだん飽きてきたし。


スイカも食べ終わったし海入ろうかな?


「豪、預けてたタオル欲しい」

日焼け止めを塗って海に入る準備したい。


「ああ、これか?」

豪が手の届く木箱の上に置いてあったバスタオルと取って手渡してくれた。


「ありがと」

受け取ったそれを開いて、日焼け止めと小銭入れをテーブルに置いた。

バスタオルは畳んだまま椅子の背もたれにかける。



「海入るのか?」

と聞かれ、


「うん、せっかく来たから遊ぶ」

と微笑んだ。


「そうだな」

クククと笑う豪。


パーカーを脱いで日焼け止めを手に取って体に塗り付けていく。


良く塗り込まないと白くなるんだよね。


リズミカルに日焼け止めを塗ってると、何故か視線を感じた。


「ん?」

と顔を上げれば、何故か豪が私を凝視してて。


「どうかした?豪」

「...あ、いや、水着似合ってる」

恥ずかしそうに言われた。


「ウフフ、ありがとう」

そりゃ誉められたら嬉しいし。


上機嫌で日焼け止めを塗る。



「背中塗るか?」

豪ってば気が利く。


「うん、お願い」

躊躇なく日焼け止めの容器を渡せたのは、相手が咲留の時と同じ感覚だった。



「はぁ...ここまで意識されてねぇのか...」

日焼け止めを持った豪が背後で、こんな風に小さな声で愚痴ってたのを聞き逃した。


「ん?何か言った?」

「いや、なんでもねぇ。塗るぞ」

「お願いします」

ペコッと正面に頭を下げる。


もちろん、豪は背後に居るけど。


日焼け止めを塗る豪の手の感触がくすぐったくって笑いそうになるのを何度か我慢した。



私が日焼け止めを塗り終える頃には、さっきまでいた女の子達は誰一人居なくなっていて。


テントの周りには警戒しながらもめいめい楽しむ王凛メンバーの姿があった。


満足そうに微笑むと大翔と、少し疲れた顔をした夏樹が追い払ったのは間違いなさそだ。