あの日あの時...あの場所で







「ご、ごめんな?俺がばあちゃんの話なんかしたからやな」

大翔はしゅんと捨て猫に様に眉を下げる。


「違う違う。大翔のせいじゃないし。そんな顔しないでよ」

ね?と大翔に微笑む。

おばあ様を思い出しちゃうのはいつもの事だし。


「ほんまに?」

「うん、ほんまに」

関西弁を真似てみたら変なアクセントになった。


「ちゃうちゃう!イントネーションちゃうし。俺が教えたるから、ちゃんと覚えてや?」

あ、甦った。


張り切って関西弁について語り出した大翔は、いつも通りに元気になった。


「『ほんま』はい、言うてみて?」

なんか、ちょっと、ムカつくんですけど。


子供に話しかけるみたいに言ってくる。


「.....」

これは付き合わないとダメなんだろうか?



「瑠樹、テントに入るぞ?こんなところで遊んでたら熱中症になる」

私の腕を掴んだ豪が、テントの中へと引き入れてくれる。



「あ、あかんて豪!今、関西弁講座開催中やし」

と呼び込める大翔。

悪いけど、ここは逃げるね?


「また、時間のある時に聞くね?スイカありがと」

スイカを見せて微笑むと、豪と一緒にテントの中に設置されてるビーチチェアーへと向かった。


後ろで大翔が何か言ってたけど、聞こえない振りしておいた。


暑い中、大翔の相手は無理っぽい。


「ここ、座れ」


「あ、うん」

豪に促されるままに、片手でスイカを持ったままビーチチェアーに座る。




「瑠樹さん、いらっしゃい。何か飲みますか?」

ギャルソンみたいにやって来たのは夏樹。


「...あ、うん、じゃあ、リンゴジュース」

頷いてそう言えば、


「かしこまりました。豪はビールで良い?」

私に恭しく頭を下げてから、隣の豪へと視線を向けた。


「ああ」

豪は海へと視線を向けたまま返事する。


「少々お待ちください」

そう言って、大きなクーラーボックスのある方へ歩いていく夏樹。



「夏樹、ギャルソンごっこしてるのかな?」

と聞いた私に、


「暑さでやられてんだろ?」

とニヤリと口角を上げた豪。


いやいや、それってどうよ?


ま、良いけどさ。


スイカを食べるのを再開する私も、暑さにやられそうな予感がするほど、今日の気温は高い。