あの日あの時...あの場所で








豪をゆっくりも見上げれば、

「行ってこい」

と手を離してくれる。


「うん」

満面の笑みで頷いた私は大翔の元へと駆けていく。


「走ったらあかんよ?転けんで」

もう、大翔も心配性過ぎだし。



砂浜をサンダルで走るのは少し走りにくいけど、さすがに転けたりなんてしないもん。




「ほら、食べり」

目の前に差し出される三角のスイカを受けとる。

「ありがと」


「夏、ゆうたらスイカやろ?」

って大翔が言うから、

「うん」

と頷いてから、一口かじった。


冷たくて甘いスイカに顔が綻ぶ。



「それ、預かっててやる」

いつの間にか追い付いてきてた豪が、片方の手で抱えてたバスタオルを持ってくれた。


「うん、ありがと」

お礼を言って、スイカをシャクシャクと食べ始める。



「このスイカ美味しいやろ?」


「...うん、甘くて美味しい」

シャクシャクしながら頷いたら、


「うちの田舎から送ったきたねん。ばあちゃんが関西の田舎で作ってるんやで」

と嬉しそうに教えてくれた大翔。


「へぇ、大翔のおばあ様は凄いね。こんなに美味しいスイカを作れるなんて」

それに畑仕事って大変だもんね。

こんなに美味しく作れるなんて凄いよ。


「やろやろ?うちのばあちゃん天才やし」

得意気に話す大翔はきっとおばあ様が大好きなんだと思った。


「うん、天才だね」

大翔の顔は本当に嬉しそうで、私まで嬉しくなる。


「他にも一杯作ってんねん。無農薬で美味しいって評判なんやて。ばあちゃん嬉しそうに電話してくんねん」

自分の事の様に喜ぶ大翔はきっとおばあちゃん子だね。


大翔に良く似た明るいおばあ様を想像してしまう。



私もおばあ様が大好きだったなぁ。

厳しかったけれど、本当は優しくて思いやりのある人だった。

そう言えば、うちのおばあ様はお花を育てるのが得意だったな。

バラ園の隣で育てていた野苺は今も元気だろうか?


半年.....たった半年前、おばあ様は確かにそこに居たのに。


あ~ぁ、ダメだな、やっぱり思い出すと悲しくなっちゃう。


「瑠樹、どうした?んな悲しそうな顔して」

豪が心配そうに顔を覗き込んでくる。


「あ...うん、おばあ様を思い出しちゃった。心配かけてごめんね」

楽しい雰囲気を壊しちゃったね。


「仕方ねぇだろ。まだ亡くなって半年だし、思い出しもする」

豪は優しくて笑ってくれるから、温かい気持ちになる。