「そこはわきまえてるって。俺が見つかったら下の連中みたいに小競り合いじゃ済まないしね」
当たり前って顔をした圭吾は、急に何かを思い出した様に、あっ!と言って掌を拳でトンと叩いた。
「そうそう、昨日の女の子の情報で面白いのがあった」
それはそれは楽しそうに口角を上げた。
間違いなく、良からぬ事を企んでやがる。
「んだよ?」
怪しむように目を細める。
「お姫様と狼王御一行は、本日より泊まりで海水浴に出たかけたらしいよ。」
「はぁ?そんな内部情報を...」
どうやってその女が知ったんだ?と聞く前に、
「昨日、たまたま引っ掛けた子の弟が狼王の下についてる奴でね?急に連絡網が回ってきたらしてくお姫様と海へ行けるって家の中で騒いでたらしいんだよね。たまたまで狼王に繋がる子に当たるなんて俺ってラッキーな男だよな」
「...ふ~ん」
こいつは運だけは良いからな。
「そんな気のない返事してるけど。本当は気になってたりして?場所も聞いたけど知りたくない?」
「...チッ、うぜぇ」
ヘラヘラとしやがって。
第一、そんなの知ってどうするんだよ?
もう会わねぇって決めてんのに。
「強がってると、お姫様喰われちゃうかもよ?」
「はぁ?」
片方の眉がクイッと上がる。
狼王に...瑠樹が?
「だって、開放的な海、愛らしい水着姿。二人の距離も自然に縮まりそうでしょ。しかも泊まりとかさ。狼王だって男だしね?」
危な~い、とか笑ってる圭吾の座ってる椅子をガンと蹴飛ばす。
「うっせぇ、黙ってろ」
苛つくんだよ。
狼王が瑠樹に触れるとか、腸が煮え繰り返る。
「うっわ!危ないし。横倒しになるじゃん」
揺らいだ体勢を立て直しながら、俺を恨めしげに見る圭吾。
「.....」
無言のまま睨んでも圭吾は、気にせずに話を続ける。
「偵察に行ってみない?俺達も」
「...はぁ?」
何しに行くんだよ。
何が嬉しくて、狼王が瑠樹の側に寄り添うのを見なきゃならねぇんだ。
「もしかしたら、お姫様と二人で会う機会も出来るかも知れない。話...したいんじゃないの?本当は」
急に真剣な表情になった圭吾は、俺の内を見透かそうとする。
「...今さら話すことなんてねぇよ。」
俺にはそんな資格ねぇ。
ゆっくりと目を伏せた。



