殺気を纏ったまま辿り着いた食堂は、ガヤガヤと騒がしくて、眉間にシワを寄せた俺に圭吾以外は近付いてこねぇ。
生徒で賑わう食堂のテーブルは満員。
俺はそれを気にする事もなく、いつもの場所へと足を進める。
食堂の一番奥の6人がけのテーブル、そこは俺達の指定席。
誰もそこには近付かない。
それは暗黙の了解で。
「お疲れさまです」
待機していた数人が俺達を見つけて頭を下げる。
「ああ」
そう返して椅子に座った。
「ごくろうさん」
待機していた連中の手を上げて挨拶すると、隣に座ってくる圭吾。
相変わらず俺達の座る席は色んな視線を集めてる。
うぜぇな.....飯ぐらいゆっくり食わせろ。
チラチラと向けられる視線にも慣れてるはずなのに、その視線ですら苛立ちの対象だ。
「なに食う?」
メニューを手渡してくる圭吾に、
「ざるそば」
とメニューを見ずに告げる。
あんまり食欲も沸かねぇんだよ。
「夏バテ?」
なんて聞かれても、
「知るかよ」
とそっぽを向いて、煙草に火を着けた。
「ククク...やっぱり機嫌悪い。じゃ、ざるそばとオムライス」
楽しそうにそう言った圭吾は、俺の分と自分のランチを近くに居た奴に告げる。
「了解です」
頷いて足早に去って行った数人の背中をぼんやりと見送る。
ゆっくりと吐き出した紫煙はゆらりと立ち上っていく。
頭に浮かんでくるのは、昨日の事。
あの再会は....思いもよらなかった。
動揺したのか?と言われたら、かなり動揺した。
名前を聞いて...まさかと思って。
その姿を見て、時が止まった。
あんな場所で、あんな風に会うなんて.....。
運命の皮肉さを感じた。
日本に戻ってきてたなんて。
三年前よりも綺麗になってた。
忘れたはずなのに、沸き起こって来たのは昔捨てたはずの思い。
俺は....どうすりゃ良いんだ?
どうして、お前は南の頭となんて一緒に居たんだ?
聞きたい事が山ほどある。
だけど、俺にはそんな資格なんてねぇ。
分かってるけど.....知りてぇと思うんだ。



