あの日あの時...あの場所で








高速道路に乗って暫くしてから、豪の言う通りサービスエリアで停車した。


「瑠樹、何食う?」

豪に手を引かれて、いくつか並んでる屋台の前を歩く。

この辺りの土地の名産品を使った料理が、気軽にテイクアウト出来るようになっている。

美味しそうな香りが漂う。



「どれが食いてぇ?」

と言われて、

「どれも美味しそうで迷うね」

と目を輝かせてしまう。


「欲しい物全部買えばいい」

いやいや、そんな訳には...。


「女の子にはそう出来ない事情がある」

眉間にシワを寄せたまま豪を見る。


「食った分だけ動きゃ良い」

「そんな簡単な問題じゃない」

「ククク...そうか」

女って面倒臭せぇな?と口角を上げた豪は、美味しそうな匂いを放ってる屋台へと目を向けた。


んもう!女心分かってないなぁ。


さて、何を食べようかな?


グゥッ...と鳴ったお腹の虫。


クハハと吹き出した豪にはどうやら聞こえたみたい。

空腹なお腹はそれを満たす物を求めてるらしい。


「こう言う時は聞かなかった事にするものよ」

ふんっとそっぽを向いた。


「拗ねてねぇで、腹を満たしてやらねぇとまた鳴るぞ」

面白そうに私を見下ろすなぁ。

完全におちょくられてる。


「ふ~んだ!言われなくても食べますよぉ」

べーっと舌を出して、豪の手を振り払って目的の屋台へ駆け寄る。


「ククク、転けんなよ」

子供扱いし過ぎだし。


「そう簡単に転けないっうの」

豪は私を幾つだと思ってんのよ。

背が低いからって小学生じゃないんだからね。




「お!お姉さん、買ってくかい?」

お店の店主が愛想よく微笑んでくれる。


う~ん、どれを食べようかな?


店主が汗だくになりながら網の上で焼いてる焼き鳥に目を向ける。


炭火で焼かれて美味しそうな匂いを漂わせるそれに、お腹の中がグルグルと動く。


色んな種類の焼き鳥に目移りしながら考える。



「おっ、美味そうだな。俺も食う」

背後に被さるように出来た影は豪のモノで。


「可愛い彼女には、美形の彼氏が居るんだな。お兄ちゃん、彼女に買ってやるかい?」

店主はニタリと笑う。


「全種類二本づつ」

豪がそう言うと、

「毎度あり」

店主は上機嫌で、焼き鳥の串を透明のパックへと詰め始める。