あの日あの時...あの場所で






「よし、だったら明日は俺が連れていってやるな」

嫌だよ、高三にもなって保護者同伴とか無理。


「...一人で大丈夫」


「む、無理だ。一人で行かせねぇ」


「はっ?」

なに言ってんの?って顔で見る。



「あんな危ない所は、俺が行って牽制かけとかなきゃダメだ」


「...意味わかんないんだけど?」

危ない所にどうして通わせようのしてんのよ。



「危険だけど、俺の妹だと知らしめたら安全になるんだよ」


どんなシステムだよ!


「あ、そっ」

もう、好きにしてよ。


編入手続きはされちゃってるし、今更止めらんないしね。



ま、面白そうだから行ってみたいし。




「兄ちゃん、朝から一緒に行くからな」


と念を押され、


「分かった」

と頷いた。



「って言うか、帰ってくるなら早めに電話してくれよな。俺を呼んでる可愛い子がいるって呼びに来られて、特徴聞いたらお前に似てるし、マジで焦ったぞ」


「だって、驚かそうと思ったの」

フフフと笑ったら、


「無茶苦茶驚いたっ~の」

と苦笑いされた。


なら、作戦は成功だね。



「じゃ良かった。作戦成功」

片手を咲留の首にかけたままピースした。



「はぁ...イタズラもほどほどにな」

困り顔しないでよね。



「フフフ...どうかなぁ」

このぐらいのイタズラなら可愛いでしょ?


「って言うか、これからはこんな危ない場所には一人で来ないでくれよ。猛獣が一杯居るんだぞ?」

いやいや、危ないって、咲留の溜まり場でしょうよ。


しかも、仲間を猛獣呼ばわりですか?



「おいおい、猛獣ってなんだよ」

とケラケラ笑う声が聞こえた。


咲留と一緒に視線を声のする方に向ければ、倉庫の入り口に黒髪で前髪に青いメッシュの入ったイケメンがこっちを見て笑ってた。


両方にエクボのある愛想の良いその顔は見覚えがあった。



「ちぃ君」

思わず口にした名前。


「おう、久しいな?瑠樹」

ニカッと笑ってた片手を上げてくれた。