あの日あの時...あの場所で







馬鹿みたい、そう思うのに、涙が止まらないのは何故だろう。

ポタリポタリとフローリングに落ちては水溜まりを作っていくそれ。


私はどうしたいの?

私はどうするつもりなの?

自分の事なのに、何一つ分からない。


だけど、一つだけ分かることは、柊に再会する前の私には戻れないと言うこと。



「...柊...柊...柊」

ずっと呼びたかった名前を何度も口にした。


届くことなんて無いって分かってるのに。


柊にとって私は必要ない人間だと知ってるのに、柊の瞳に写れた事を嬉しく思うんだ。


曖昧な関係で、好きだなんて互いに言った事は無かったけど.....胸の奥にしまいこんだモノが溢れてくるんだ。



.....柊が..好き。

きっと、いまでも......。


認めた途端に苦しくなった。


こんな胸の痛みなんて要らないのに。


私の本能が柊を求めてる。



もう私達は二度と交わる事はないのにね?



私って馬鹿。


本当、どうしようもない。



柊本人が連絡を絶って私を拒絶したのに、私はまだそれを信じきれてない。


何かあった?

あんなに優しく笑う柊を変えたのは何?


私から離れたのにも、理由があるのかもしれない。


そんな風に考えても、柊が女好きで最悪な男だって事実は変わらないのにね?


どんな理由があっても、柊が私以外の女の子に触れたことは変わらないのにね?



馬鹿な私は、今日名前を呼ばれた事を嬉しく思ってしまうんだ。



状況は何にも変わらないのに。


このまま柊を思っても傷つくだけ、苦しむだけ。


だから、忘れなきゃ。


アメリカにいた頃みたいに、都合の悪いことは忘れなきゃ。


そうやって、生きる術を覚えたじゃない。


後から後から沸いてくる涙を手の甲で拭い続けた。


おもいっきり泣いて、全てを流してしまおう。



今の柊は私の知る柊じゃない。


それに彼は西の頭で、私は南の姫と呼ばれてる。

そんな二人が交差することは、この先あっちゃいけないよ。


私を大切にしてくれる豪を、その仲間を裏切る事なんて私には出来ないのだから。