ヤンキーで出来た人垣の間を通って、五番街倉庫へと向かう。
花道を通るスターの様に憧れを含んだ視線を向けられる咲留。
私に刺さるのは物珍しい珍獣でも見たかのような視線で。
ま、妬みや憎悪じゃない分、それほど居心地の悪いものじゃ無いけどね?
この類いの視線なら、慣れる程度には浴びてるし。
金髪で青い瞳なんて、興味の対象に良くされるからね。
アメリカじゃそうでもないけど、日本じゃ自分とは違う異質な物を物珍しく見てしまうんだろうね。
咲留に縦抱きされたまま、周囲をゆるりと見渡してみる。
私だけ見られてるなんて不公平なので、こちらも見てあげるよ。
しかし、昼間っから結構な人数居るけどさ、学校の時間帯じゃないの?
どう見ても学生ですって感じの人が多いんですけど。
「どうかしたか?」
と聞かれて、
「学校じゃないの?平日だし」
と聞いてみる。
咲留だって、大学生でしょ?
「俺は今日は二限だけだからもう終わった」
凄いだろ?って胸張るけどさ。
大学生って、呑気なんだな?って思ったよ。
「他の皆は、高校とかあるでしょ?」
「ああ、こいつらも適当に単位を考えながらサボってんだよ」
それで良いのか、今時の高校生。
「そうなんだ」
ま、もう興味なくなったからもう良いし。
「瑠樹も転校先の高校へ行かなくて良いのか?」
「あ、うん。明日、挨拶に行く」
三年の7月に転校なんてね?
向こうで飛び級してるから行かなくても良いとはおもうんだけどさ。
咲留がどうしても、自分の母校に行って欲しいって言うから、暇潰しに行くことにした。



