あの日あの時...あの場所で










ピリピリした空気が流れる空間。


俺達だけがそこに存在してる様に思えた。


早く去れとばかりに、睨んでくる狼王と甲斐。

そして、ヒビってる女の子の肩を抱き締めながらこちらを睨む綺麗な子。


キングは涼しい顔でこの状況を楽しんでる。


美夜は、怯えてんのか芝居なのか、キングにベッタリとくっついてやがる。

ほんと、イラッとする。


美夜からゆっくりと視線を這わせた時に、ふっと気付く。


俺達を興味津々に見てるギャラリーの一部が狼王の背後に向かってる。


ん?なんだ?

そこの何があるってのかな?


俺の中の悪戯心がムクムクと起き上がる。


面白い事になりそうな気がして...。


こんな時の俺の勘は良く当たるんだよね。



「狼王、背中に何か隠してる?」

然り気無く言葉を投げ掛ける。
 
もちろん、彼等の表情を伺うためにね?


ビクッと肩を揺らしたのは大人しい女の子。

おぉ、ヤッパなにかあるんだね?


それに甲斐も表情が崩れてるし。



「何もねぇ」

狼王は瞳すら揺れることないけどね?

さすが、狼王。


だけどさ、後ろに回してるらしい左手。

その手は何を掴んでるのかな?

あ~ダメだ、楽しくなってきた。



「...キング、狼王は背後に面白いモノを隠してるよ」

キングに近寄ってそっと耳打ちする。


「ふっ...面白れぇ」

キングも遊び好きだからな。


さてさてどうしようか?

簡単に教えてくれないだろうしね。


ほら、さらに警戒が増したしね?


狼王と甲斐は、技とらしいぐらい隙間なく並んでるしね。

それって、後ろに何かありますって言ってる様な物だよね?

フフフ...だったら、後ろの子に自分から出てきてもらおうかな?



「狼王、この女の子達のどちらかが君のお姫様?ツイートしちゃって良いかな?」

そ、ガセの情報流しちゃうよ。


「はぁ?何をふざけてんのや?この子らはただの友達や」

甲斐が噛み付いてくる。


「へぇ、そう。でも、このままだとそう理解されても仕方なくない?」

あぁ、自分で言っててウザい奴だと思うな。


「うっせぇよ、帰れ」

狼王が低く吠えた。


「ククク...どうしても俺達を帰らせたいみたいだね」

あぁ、面白い。


「気持ち悪いその笑い」

綺麗な子が睨んだままで毒を吐く。

キツいねぇ、だけど君みたいな子嫌いじゃない。