あの日あの時...あの場所で






狼王の前を歩く二人の女の子に目を向ける。


「どっちかな?でも思ってたより二人とも普通ね」

美夜は気に入らないらしい。

しかも、普通よりは上だと思う。


この女は自分と同等レベルの相手を貶すのが好きみたい。


ま、どうでも良いけど。


「...噂じゃ猫可愛がりしてるって言ってなかったか?」

キングの言葉にはっとする。


「そうは見えないよね?」

前を行く二人とはそんな関係に感じない。

噂じゃあの狼王が手を繋いだり抱っこしたりしてるらしいし。


どう見ても、そんな雰囲気は感じ取れない。


情報はガセだったのか?


いや、でも待てよ。

さっき接触した時は、相当ピリピリしてたよな?

俺達に会わせまいとして。


どういう事だ?


首を傾げつつ足を進める。



後数メートル.....5.4.3.2.1....チェックメイト



俺達の前で二人の女の子が立ち止まる。


それと同時に、狼王と甲斐も立ち止まる。


割れる人垣。


再び合間見えた俺達を、物珍しげに見てくるギャラリー。


事の成り行きに神経を尖らせてるのがまるわかりだ。



「...チッ..どけ」

地の底を這うような狼王の低い声。

最初の接触の時の殺気なんて比べ物にならないぐらいの殺気が放たれてる。


美夜がビクンと肩を揺らして身を縮めたのを見て、クククと小さく笑う。



「そっちがどけよ」

挑発的に微笑むキング。


狼王は後ろを気にする素振りを見せつつも、隣に立つ甲斐に目配せする。


おっと、その甲斐の後ろには乾も居るじゃん。


ってことは、どちらかが本命かな?


もしかしたら、乾と先にお姫様を帰らせたかも?って思ってたけど、奴がここにいるならお姫様も居るって事だろ?


「どっちが本命かな?」

俺は彼女達をジロジロも観察する。


一人には鋭い瞳で睨まれ、もう一人には怯えたように視線を逸らされた。


過保護欲が沸くのは怯えた方の女の子。


だけど、さっきから狼王は彼女達へと視線を向けてない。

そんなの可笑しいよね?


大切なお姫様なはずなのに。