一番欲しいプレゼント【短編】

 こんなことを言ってしまうあたし自身が嫌だった。

「だって、俺には好きな人がいるから、その子たちの気持ちには応えられないから」

 寛はうつむいた。

「だから、何であたしにはそのお返しさえくれないのよ」

 あたしは泣きそうになるのを必死に堪えた。

「好きな女がお前だからだろう? だから」

 寛はそこまで言うと、口ごもる。

 あたしの中でその言葉が何度か響く。

 あたし?

 あたしは右手の人差し指で自分を指差した。