「お店の中に等身大の男の子たちの人形が置いてあるの。

それは喋るし、動くし、まるでアンドロイドみたいなのよ」


話に食いついてきた実紗に対し、有里は途端に饒舌になる。


「アンドロイドって人造人間みたいなものだよね?」


「そうそう。でも相手は人間じゃなくて人形で作られているの」


「そんなものが手に入るとは思えないけれど」


目が輝きだした実紗を見て、あたしは横槍を入れた。


すると有里は左右に首をふり「それが、簡単に手に入るのよ」と、畳み掛けるように言った。


実紗は更に身を乗り出して有里に近づき、今にも椅子から転げ落ちてしまいそうだ。


「商店街裏路地にある【ドールハウス】っていうショップなんだけど、まぁ値段は人形にそって様々ね。


だけど理想的な彼氏疑似体験するにはちょうどいい価格だと思うよ?」


有里はまるで自分で経験したことのようにつらつら言葉紡ぐ。