本当にそうだとしても、あたしはパスだ。


有里の知り合いにはチャラそうな男しかいなさそうだし。


そう思っていると、有里が意外な事を話し始めた。


「彼氏人形って知っている?」


「彼氏人形……?」


あたしはこの時初めて有里に視線を投げかけた。


バサバサの付けまつげがとっても重たそうに見え、瞼にはブルーのアイシャドーが乗っている。


「自分の理想通りの人形が作れるのよ」


有里がそう言う。


「それってどういうこと?」


実紗が興味惹かれたように身を乗り出す。


あたしはその光景を見るでもなく、見ていた。