蒼太がそっとあたしに手を伸ばしてきたので、あたしはその手を握り返した。


今、この時間だけでいい。


駅に到着するまでの時間だけでいい。


あたしに、恋人としての最後の記憶を残しておこうと、そう思ったのだった……。