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あたしたちはまず右隣のお店に聞いてみることにした。


隣と言っても2件先の本屋さんだ。


間の2件はシャッターが下りている。


3人で本屋さんへ入り、すぐに【ドールハウス】について質問をしてみる。


50代くらいの太った男性店員は汗を拭きながら「あぁ、あの気味悪いお店かぁ」


と、眉をよせながら言った。


「そのお店のこと、なにか覚えていませんか?」


「覚えているって言っても、あのお店は1か月もたたないうちに辞めちまったから、入った事もないよ。商品を表に出してディスプレイしていたから、あまりにリアルで気持ち悪いと思ったけどねぇ」


「そうですか……」


やっぱり、ここでも長い期間は営業をしていなかったようだ。


「そのお店、今はどこにあるかわかりませんよね?」


「さぁ、さすがにそこまではねぇ……。悪いね、何も力になれなくて」


おじさんはそう言い、申し訳なさそうに汗を拭く。


「いえ……ありがとうございました」


あたしは店員さんに頭をさげて、本屋さんを出たのだった。