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住所の場所はこの街から随分と離れた場所にあり、あたしたち3人はバスとタクシーを乗り継いでやって来た。


高層ビルや学校、ホテルといった建物がどんどん後ろへ遠ざかり、低い建物が目立ってくる。


空が広く、山と緑に囲まれる場所まで移動してきたとき、ようやくタクシーがとまった。


そこは自然に囲まれた街の小さな商店街の入り口だった。


あたしたちのよく行く商店街とは違い、人はほとんど歩いていない。


お店もシャッターが閉まっているところがほとんどで、所々開いているお店はあってもさびれていた。


そんな商店街を奥へと進んでいくと、右手に【空き店舗】と赤文字で書かれたお店があった。


あたしたちは名刺の住所をその建物を照らし合わせる。


間違いない。


ここだ。


「依子はこんなに遠い場所まで来て【彼氏人形】を買ったのね……」


恭子さんが呟くようにそう言った。


その表情からは笑顔が消え、切なそうに見える。