実紗の葬儀が終わり、あたしは会館の外へ移動した。


もうすぐ冬が始まる、冷たい風が頬を撫でる。


以前の実紗と同じように肩から右腕をつるした状態で、遺族の人たちが火葬場へと向うのを見送る。


……終わってしまった……。


実紗の人生が、こんなにも早く終わってしまうなんて思ってもいなかった。


茫然と立ち尽くしたまま、あたしは1人その場から動くことができずにいた。


「次は……あたしが殺される……」


ポツリとそう呟く。


葵君と蒼太は性格の違いがあったから、時間に差ができただけだ。


【彼氏人形】を購入した人間は、必ず殺されてしまう。


逃げ道は……どこにもない……。


絶望感にすべての力を失いかけたとき、ふいに後ろから声をかけられた。


「陽子ちゃん?」


聞き覚えのある女性の声に、ハッとして振り返る。