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次に目が覚めたとき、あたしは自分のベッドの上にいた。


ひどく頭が一体なにが起こったのか理解できない。


真っ白な天井を見上げて茫然としていると、ベッドの横から聞きなれた声が聞こえてきた。


「陽子、目が覚めた?」


そんな蒼太の声に一瞬ビクッと体を震わせる。


反射的に恐怖が体を駆け巡り、自分を守ろうとしている。


「……蒼太……」


あたしは蒼太の顔を見て、さっき起きた出来事を鮮明に思い出していた。


ひどく耳を引っ張られ、焼けるような痛みが走り、そしてプッツリと記憶は途切れている。


あたしは恐る恐る自分の右耳に触れてみた。


なにか堅い感触がすると同時に、痛みが走る。


あたしは慌てて起きだして姿見の前に立った。


鏡で自分の顔を確認すると、右耳は何重にも絆創膏が張られていた。


「これ……蒼太が?」


「あぁ。とりあえず応急処置をしておいたよ」


そう言う蒼太は全く悪びれておらず、優しい笑顔を浮かべている。


あたしはその笑顔に気味悪さを感じた。