蒼太はそう言ってあたしの頭を撫でた。


あたしはその手の感覚に次第に緊張がほぐれていくのがわかった。


今日は……いや、今は安全そうだ。


あたしは無言のまま、蒼太のしたいように身を任せることにした。


蒼太はあたしの頭を撫でながらそっと額にキスしてきた。


さっき汗をかきながら帰ったばかりだけれど、やっぱり人形である蒼太にそんな事は気にならないようだ。


髪だって、きっとシャンプーより汗のにおいの方が勝っているんじゃないかと思う。


「陽子、俺のこと好き?」


不意にそんな質問をしてくる。


あたしは一瞬言葉に詰まったが「好きだよ」と、最善の返事をすることができた。


「嬉しいよ陽子。俺も陽子のことが好きだよ」