「やめて!! 離して、葵!!」


実紗が必死で葵君をなだめる。


しかし葵君はジッと有里を見つめて視線をそらさない。


有里の顔は徐々に赤くなっていき、苦しさにあえいだ。


「実紗の友達はくだらねぇ事をするんだな」


「違うの……! 有里は悪気があったワケじゃないの!!」


「葵君! お願い!! 有里が死んじゃう!!」


あたしと実紗は葵君の体にしがみつき、必死で有里の体を下ろそうとする。


「へぇ? 俺も今この女に殺されかけたけど?」


葵君が冷たい声でそう言い、有里を睨んだ。


「葵君聞いて!! 有里は葵君にスイッチがあるなんて知らなかったのよ!! だから足に手を伸ばしたのは……ただ、埃を取ろうとしただけなの!!」


「埃……?」


葵君があたしに視線を写す。


あたしは、できる限りの笑顔を浮かべた。


「そうよ。だから、こんな事をする必要ないの!!」