そっと体を動かし、低い体勢のまま蒼太へ近づく。


ドクドクと心臓が早くなり、ジットリを背中に汗をかく。


蒼太の様子を確認しながらジリジリと前進していく。


そっと手を伸ばし、蒼太のジーパンの裾に指先が触れた。


その場にいるのに息を殺し、悟られないように指先で靴下を下げる。


そしてスイッチが見えた……その時だった。


「何してるの?」


蒼太の声が頭上から聞こえて来て、あたしの体は硬直してしまった。


少し指先に力を込めればスイッチが切れるのに、少しも動かない。


頭の中は焦りばかりで埋め尽くされ、次の瞬間、蒼太の足があたしの脇腹を蹴りあげ、壁際まで吹き飛ばされていた。


痛いに表情をゆがめ、薄く目を開けると蒼太がさっきと同じ場所に立って、冷たい視線であたしを見ている。


「他に男はいないようだけど、一応男のアドレスは消しておいたよ」