教室を出て廊下を歩いていると、胸騒ぎは更に激しくあたしの胸を突き上げてきた。


それはまるで漆黒の闇へと自ら飛び込もうとしているあたしを、必死で引き止めているように感じられる。


「別に今日じゃなくてもいいのに」


あたしがそう言っても実紗は足を止めない。


「善は急げって言うでしょ!」


「いいことかどうかなんてわかんないのに……」


あたしの訴えは放課後のざわめきにかき消されてしまったのだった。