誰かが持ってきてくれたんだろう。 彼女の横顔を盗み見ると、少しだけ穏やかな表情をしていた。 「悲しそうだった」 放送部に入部した時には、三年生は引退していた。一年二人と彼女というギリギリを保って部活は続いている。 来年入ってくる一年生に期待。 「何が」 椅子の向こうの彼女が起きあがらずに問う。 「部長が。最初水かけた時とか、教室で」 「あたしが、悲しそう?」 「色んな感情飲み込んだ眼してた」