化学室では見られなかったような顔をする。
やっと分かった。
それから化学の授業をサボって、SHRだけは出ようと三人で話して教室へ戻る。
「二人は付き合ってるの?」
と坂井さんに聞かれて、二人で首を振る。
「瀧本さん追いかけてきたから、そうなのかもって思ってた」
「違うよ。俺、今日クラスメートだって知ったくらいだし」
「それに、坂井さんだって友達じゃないのに来てくれた、んだよね?」
確認するように聞く彼女。確かに、そう思うと今三人で居ることが不思議だった。
教室に帰っても、誰も何も言わない。陰口も聞こえなかった。
ただ、坂井さんの机にも彼女の机にも、俺にも、化学室に置いてかれていた教科書やペンケースが置かれていた。



