文弥くんは自分に任された仕事をただ全うしているだけ。
いつだって真面目に、いつだって全力投球。
そんな文弥くんのことを好きになったはずなのに
付き合い始めてからというものの
“もっと話していたい”
“もっと一緒にいたい”
って、どんどん欲張りにワガママになっていく自分に嫌気がさしてくる。
こんな私を知られたくなくて、一生懸命平気なフリをしてみてはいるのだけど
「はぁ……」
やっぱりどうしたって溜め息は出てしまうわけで。
「舞、そんなに不安なら直接ぶつかってみなよ。佐伯なら舞の気持ち全部受け止めてくれるんじゃないの?」
玲ちゃんはそう優しく言ってくれるのだけど
「う、うん……」
忙しくしている文弥くんに、これ以上の迷惑はかけられないと思う自分がいて
「でも……それは出来ないよ」
自然と心にブレーキをかけてしまう。

![【完】ズルい瞳[短編]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.944/img/book/genre1.png)