「あのさ、佐伯く……」
『ごめんなさい。胡桃沢さん』
私の言葉と佐伯くんの言葉が回線上でぶつかり重なった。
「え?」
『…………』
でも、どうして?
今、佐伯くん謝ってた……?
『自分の気持ちを誤魔化すみたいにして、下らない話をグダグダとしてしまいましたが……本当はもっと貴女と大切な話がしたくて、電話したんです』
「佐伯……くん?」
決して下らない話ではなかった。
とても……私にとっては、とても大切な話だったよ?
『結論から言うと……貴女の声が聞きたかった。そして、僕は気付いたんです』
「………」
『僕は貴女が“好き”だということに』
「!!」
『………こういうことは本来、貴女と面と向かって話すべきことなのでしょうけど、貴女を目の前にしてしまったら僕は……僕である自信がありません』
「佐伯くん……」
『はは、とうとう言ってしまいました。明日から貴女にどんな顔して会えばいいのでしょうかね』
「………」
胸が、もういっぱいいっぱいで
言葉も出ない。
佐伯くん。
そんなストレート過ぎる告白
………ズルいよ。
ドキドキしちゃって
何も答えられなくなっちゃうじゃんか。

![【完】ズルい瞳[短編]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.944/img/book/genre1.png)