「…………」
「…………」
うわぁ……何だ?
この気まずいというか
気恥ずかしい雰囲気。
お、落ち着け~落ち着け~私。
心臓の高鳴りをどうにかこうにか抑えようと試みる。
「胡桃沢さん」
「は、はいっ!?」
「この髪飾りは没収しますよ?」
「あ……は、はい!」
恥ずかし過ぎて、もう佐伯くんの顔すら見上げられない。
「………」
「………」
「………」
「………」
ん?あれ?
いつもだったら、もう取り外してもいい頃なのに
佐伯くんの大きくて温かな手は、まだ私の頭上に乗ったまま。
「あ、あの……佐伯くん?」
「………」
返事はない。
だとしたら
「佐伯くん?」
もう一度、今度は顔を見上げて呼び掛けてみる。
すると
「う、うわっ!?」
そこには……
耳まで真っ赤に染めた
珍しく焦ったような表情の佐伯くんがいた。

![【完】ズルい瞳[短編]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.944/img/book/genre1.png)