堅物くんとの恋愛過程




後輩くんの手がいよいよ私の肩に置かれた時




「………なにしてんだよ?」




聞いたことのない、やけにドスのきいた声が頭上から降ってきた。




「え………?」




見上げれば、後輩くんの腕を掴み上げている




それはそれは恐ろしい佐伯くんの姿。




その瞳は強烈なまでに研ぎ澄まされていて




「あ……や……あの……」




後輩くんはまるでメデュッサにでも睨まれたかのよう、恐怖のあまり言葉も出ない様子。




だから




「あ……あのね?私の髪飾りが校則違反だから、彼が没収しようとしてくれてたの」




慌てて仲裁に入ったんだけど




「その役目はいつも僕のはず、ですよね?」




「ひ………」




佐伯くんの圧倒的な威圧感を前に、思わず怯んでしまう。




「す、すみません……俺、知らなくて」




後輩くんが知らないのは当然なんだけど、ね。




「わかればいい。サッサと持ち場に帰れ!」




「は、はいっ!」




可哀想な後輩くん。




まるでトムソンガゼルのような足取りで、この場を去って行った。