そう、佐伯くんは何も悪くない。
萌香先生に嫉妬して
勝手に拗ねて
佐伯くんに八つ当たりして
ホントに最低なのは……私。
佐伯くんに、こんな顔させちゃいけないのに
私なんかのせいで心惑わせちゃいけないのに
………ごめんね。
「嫌……だったの」
「え?」
超至近距離にいるはずの佐伯くんの耳にすら届かない、か細い声で呟く。
「………萌香先生のことばかり気にしてる佐伯くんが嫌だったの」
「…………」
言って……しまった。
でも、これが今の私の本当の気持ちだから。
「佐伯くんがね、萌香先生のこと好きって気持ちは分かるんだ。だって」
「ちょ、ちょっと……胡桃沢さん?」
佐伯くんは明らかに動揺しているみたいだけど
私も……もう止められない。
「萌香先生、キレイだし素直で可愛いもんね。でも……」
いよいよ佐伯くんへの自分の気持ち、ありままを
言葉にしようとした時
「す、ストーップ!!」
突然、大きな声の佐伯くんに制止されてしまう。
「え………」
「桜井先生のこと、僕が好きだって?」
「あ……うん」
佐伯くんの勢いに負けそうになるけど
戸惑いつつも首を縦に振る私。
「それは大きな誤解です」

![【完】ズルい瞳[短編]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.944/img/book/genre1.png)