「太鼓持ちか、、、」



ふと僕の横の客がつぶやきました。



「あの太鼓持ちなあ
昔はああ見えてもここら辺、肩に風切って
歩いていたんやでえ。


パチプロやったんや。



この辺のパチンコ屋を皆荒らしまわってなあ、
あのおっさんが、店に入ってくるだけで
店員は嫌な顔をしてたもんや。



所が時代に勝てず落ちぶれて
今は勝っている客に取り入って
100円200円もらって、なんとか食いつないどるんや、、、



なあ、学生さん。



今はパチプロが、かっこいいって時代になっとるけど
遅かれ早かれパチプロは皆ああなるんやでえ。」



僕はドキッとしました。


あんまり、パチンコが楽しいもんで
パチプロにでもなろうかなあと思っていたからです。



そして、隣の人はこう言いました。





「あいつの棺桶は間違いなくゴミ箱や。
誰も引き取るやつなんかおれへん」





相変わらず笑顔をふりまいている男の横を
通り過ぎ、僕は店を出ていきます。






男とすれ違った瞬間


男の陰と僕が重なったような気がして
思わず身震いしたのを覚えています。