アパートの前で。

「あたしの家、ここだから。送ってくれてありがとね。」



明らかに寂しそうなカオをする柊。



本気なのか

さっきみたいな確信犯なのか

正直わかんないけど。



「あのさ…、今日電話してもいい…でしょうか?」





って、何言ってんの俺?

普通、電話していい?とか聞かねぇって事は、もちろんわかってるけども。

急いでるって言ってたから用事あるんだろうし。



でも、寂しそうな柊にはいサヨナラって置いてく事なんか出来なくて。


なんか言おう、なんか言おうと思ってたら。

…変な事を言ってしまった。


“後悔先に立たず”


このことわざの意味を悟りました。





それなのに、


「うん…。待ってる…!」

なんて微笑んでる柊のカオ見たら


後悔もいいもんだ。


とか思ってしまうゲンキンな俺です。



「あ、でもあたし10時までバイトだから。」

「え゛」



《10時までバイト》
=《10時以降に掛けてきて》


マジで?


…ホントに待ってる、のか?




やっちゃった、みたいな表情をしてる柊を見て、


これは確信犯じゃない、という確信を持ってしまっ