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約十分後、慧の家の最寄りの駅で降りてホームのベンチに座っているあたしは、まさに地獄に居た。





「大丈夫か~?」


「ゔぇ……」


そうだよ…。改札通るってことは電車乗るってことじゃん…。

んで電車乗るってことは、酔うってことじゃん…。



「生きてる?」


「ゔ…、ダメ…。」

多分2、3駅しか乗ってないはずなのに…、気持ち悪い…。


「……。」


突然黙りこんだ慧。


呆れられたのかな…、と思って隣に座ってる慧を見ると、何故か手で口を押さえてそっぽ向いてる。


よく見ると、肩が小刻みに揺れてる。


これは…


「…笑ってる?」


「そんなっ、こと、ねぇよ?」

そっぽを向いたまま答える慧。

いや、途切れ途切れに笑い混じってますけど。


「何がおかしいの?」

人がこんなにツラそーにしてるときに何笑ってんのよ。





「…―――――くれるんだなーと思って。」


「え?何?聞こえない」


「寧々が、かわいーってこと!」

やっと笑いが治まったのか、こっちに向き直って、にっ、と微笑む。


「…意味不明。」


かわいいっつっとけばいいと思いやがって…。