蘭さんは俺の手を見て言った。

「治ったみたいに見えるわね。吹くのに支障はない?」

「はい」

「よかった、ほんとに」

蘭さんはふふっと笑った。

「こんないい後輩がいて幸せね、藍」

桐谷先輩はぼそりと何か言った。

蘭さんが聞き返した。

「え? 何?」