「あづ〜〜!!暑いー…!けーちゃんアイスーー!」

隣で溶けるようにテーブルに寝そべっている伊織くんはさっきから暑い、暑いと連呼している。季節は六月後半。梅雨も明け、どんどん蒸し暑くなってきている。

「はいはい。…サチちゃん何味がいい?」

「オレンジかなー。」

「俺アップルで!しっかし今日も此処は快適だなー。暑苦しかった弓道場とは大違いだわ!」

佐藤くんからアイスを受け取り、袋を開ける。調理室の冷蔵庫は最近アイスが常備されているような?

「…伊織、部活はどうしたの?」

「弓道?んあぁ、辞めたよ。なんつーか…精神統一とか苦手でな!それに俺には追い求めるものが出来たし…。」

「ふうん…まあ、いいと思うよ。休憩終わったらまた勉強ね。」

そう、私たちは今、勉強中。
私たちの学校は二期制。一応テストはあるけれど、なんとそれは終業式の3日前と前日。つまりあと二週間ほどしかない。実は目の前にいる佐藤くんは学年でも10位には毎回入っている秀才。

それに比べて私と伊織くんは…。
伊織くんは去年は赤点があったらしく夏は補習だったらしい。私も赤点はなかったものの、点数は高くもない…。

そんなわけで、今は佐藤大先生にご教授いただいているのだ。