2年前の4月


医療事務の仕事にも慣れ始めた私が出会ったのがコイツだった。


『原田君、今日からここに内科医としてやって来た森井先生だ。』


事務室で水野事務長と話していた彼は、見たこともないほどの整った容姿の持ち主で正直驚いた。


前にいた佐々木先生はおじさんで、ポッチャリしてたから、その人の代わりがこんな若い人なんて……


「原田靖子です……宜しくお願いします。」


目の前の相手は綺麗なお辞儀をすると私の方に歩みよって背を屈めた


「……」


『目腫れてるね、冷やしたほうがいいよ』


ドクン


笑ってるようで笑ってない目にぞくりとした感情を覚えつつ俯いた


何でこの人……泣いたってこと分かったのだろう。


さっと体を起こした彼は、回りの人にも笑顔で挨拶して看護師長に診察室やら流れを教わっていた。



『原田、大変だったな。頑張れるか?』


「はい、ご迷惑かけてすみませんでした。」