大切な人と過ごす初めての年末


光さん夫婦と良さんの作った手料理で迎える年越し



この人に出会えなかったら知らないままだった人達といられる喜びを大切にしよう



『靖子ちゃん、いいこと教えてあげる』


「えっ何ですか?」


光さん夫婦が帰った後、もう一つのゲストルームに向かう良さんが私に耳打ちしたこと



"…………"


それを聞いただけで顔が熱くなる


『良、いい度胸だな?……このまま泊めずに追い出すぞ』


『仮にも医者だろ?凍死するわ!』



ウィンクをして部屋に入ってしまった良さんに思わず笑ってしまう


ソファで寛ぐ聖治さんの元に向かい隣に腰かける




『良に触らせるなんて警戒心無さすぎ』


むすっとした彼は私の頭を軽く小突く


触らせるって……


「でもやっぱり良さんいい人ですね?」


『はぁ?』


呆れたような声を出して盛大に溜め息をつけば、ハイバックソファに脱力したようにもたれてしまった


今聞いたことは私だけの秘密にしよう



「聖治さん」


『何』


ぶすっとした彼に新年のご挨拶



「今年も一緒にいさせてくださいね」