聖治さんが診療所に来る前からずっとここで働いてたじゃない…


この人の存在が大きすぎて居なくなるのが寂しいし……恐い


今でも同じ職場にいるからこそ、たまにしかこうしてオフを過ごせなくても大丈夫


でも……居なくなってしまったら


『………許されるならこれからも側にいて欲しい』




「……………私は行く場所なんて……」


もう前を向くのが恐い私は俯いてしまう


その時私の両手を聖治さんの冷たい手が包み込み驚いた私はもう一度前を見つめる



………そう、この人のこの真っ直ぐなところに私はずっと恋してる


私に言うのを悩んでたからあんなにも甘えたりしてきたの?


『靖子』


例え一緒に働けなくても、この声がこうして私を呼んでくれる


ずっとそばで見てきたから聖治さんが仕事に対して妥協してないことは分かるの



「……あの」



『結婚しよう………』



………………………えっ?


焦げ茶の瞳が真っ直ぐ届く


「……今」


『離れて寂しいのは多分俺。』


「聖治さん……」


包み込まれた手に少しだけ力を入れて握り、私は視界が邪魔な涙で見えなくなる



『靖子……お嫁においで。』



過ぎてしまったクリスマス


突然変異は驚きと悲しみ、そして抱えきれない程の優しさに溢れる



「私でいいんですか?」


ベッドに横たわり温かい腕の中で問う


『靖子以外いらない、興味ない』


「興味ないって……」



『まだ返事聞いてないんだけど?』




そう言って意地悪く笑った彼はいつも通りで甘い唇が体を包み込む


出会って3年、まさかこんな日が来るなんて思ってもなかった……