「随分、荒手の療法をするんですね」


喉を鳴らしながら私の左腕のカッターを
直していく彼


『特別』


「誰か来たらどうするんですか!?」


『だって、原田さんがそうしたいって』


「言ってません!絶対に」


『でも、忘れられたでしょ?』


耳元で囁いた医者はそのまま耳を舐めると立ち上がり診察室を出ていった





『靖子ちゃん、おかえ……』


デスクに戻ると恥ずかしいのに流された自分に苛立ちがつのる


『(靖子ちゃんもいきなりやられたのかなぁ……可哀想に…)』



義理兄の視線は置いといて、とりあえず無事に打てたけど、仕事中にこういうことするのは危険すぎる


マイペースだからきっと言っても何で?なんて返されそう


腕を撫でて、人生で一番痛くなかったから今回だけは許そうと思った