不安じゃないと言ったら嘘になる。


私には唯一血の繋がった大切な家族だ


『靖子、乗って』


落ち着きをなくしていた私に届いた言葉に振り返ると白のRV車が路肩に停められていた


どうしてここにいるのとかよりも、体が自然とそこへ向かえば、中から開けられた場所へ乗った



「仕事中抜けていいんですか?」


病院名を告げれば知っていると言った先生は、私のシートベルトをカチリと装着する


『俺にも休憩させてよ』


「ありがとうございます……お姉ちゃん……予定日よりも早くて……私」


『大丈夫、靖子は信じてるんでしょ?』


信じてる?


冷たい指が私の右手を優しく握る


『元気な子が産まれてくるって』


そっか……


私肝心なこと忘れてた。


さっきまでは不安で一杯だったのに、やっぱりいつも助けてくれるのは彼の言葉



「ありがとうございました」


『ん、電話待ってる』


そう微笑んだ唇に自分からキスをすれば弧を描いた唇が噛みついてきた