あの事件?

勝手に私が勘違いしただけなのだけど、結果的には丸く収まった事件から2週間たち、地獄のレセプト週間をクリアした私


実際はレセプトを手伝いに来てくれているパートの里山さんに助けてもらって、寧ろ色々教えてさえ貰えている



この期間は、最低限の身だしなみをするだけで特に何も出来ない私


髪の毛……伸ばしっぱなしだし切ろうかな。


長い髪がいいと彼は言ってくれるけど、150センチ台にはバランスが悪い


服は好きな好みがはっきりしてるけど、他は何がいいのか分からない私


仕事帰りに市で一番大きな書店で、沢山立ち並ぶそれらを見てみる


「(今年の流行………へぇ、以外にもショートなんだ)」


ここまで短くするのはかなりの勇気が必要だけど、可愛いかも



『難しい顔して何読んでるの?』


「えっ?……ええっ!!」


慌てて声を出したことに恥ずかしさを覚えて口を手でおおう



『クス……こんばんは、靖子ちゃん』


靖子ちゃんって……


私たちがそういう関係だと分かってからは勘ぐるような行動は辞めてくれたから良かったものの。


「田本先生こそ……驚かさないでくださいよ。」



彼の双子である姉の田本先生は、相変わらずモデルのような出で立ちで彼と同じく無駄のない整った顔を覗かせる


『あなた髪の毛切りたいの?そうよね、手入れなんてしてなさそうだし。』


ほんとのことだから言い返せない