あの丘の上で【上】



Side沙羅


「帰っちゃったわね。」


「あぁ。でも大丈夫だ、雪菜にはあいつがいる。」


雪菜は、響と同じ、私達の孫のようなもの。


小さい頃からずっと見てきた。


…あの子が記憶を失う前から。


「大人っぽくなったわよね、久しぶりに見ると。」


「…沙羅姉さんなんて呼ばれてただろ?あれはびっくりだったな。何処かに残ってるのかもな。」


「あの暗部がそんな失敗するわけないわよ。」


本当に、そうだと良かったのだけれど。