元気じゃないか。
見事ともいえる逃げ方にエイルは素直な感想を漏らすと、途中で逃げ出してはいけないとラルフの後を追い掛ける。そして荷物を置いているラルフを捕獲すると、人目の付かない建物の影に連れて行き、自分がどのような用事を担って村にやって来たのか事細かに話す。
「現場を見たいらしい」
「急だね」
「そういう方だから」
「嫌われていない?」
「何故、わかる」
「だって、同じ臭いがするんだ。言動といい、その無鉄砲というか周囲を考えないところが……」
「そのように自分を顧みることができるのなら、どうしてメルダース時代もっと僕の言葉を……」
「ああ、怒らないで」
「怒ってはいないよ。しかし、お前にそのように言われるとは……何と言うか、本当に……」
ラルフにそのように言われるのだから、ミシェルという男は相当なものだろう。メルダース時代、あれこれとトラブルを誘発し迷惑を掛けていたが、ラルフは根っからの悪人ではない。しかしミシェルの場合、感情のままに動き周囲に迷惑を掛け、時に相手は血を流す。
「で、その人が来るんだろう」
「そのように望んでいる」
「間に入って欲しいと言っていたけど、ちょっと難しいかも。親方、厳しいし怖いし……色々と……」
「……そうか」
「だから、エイルが直接行ってほしいな」
「お前も来る」
「えー、何で!?」
「事情を話したから」
「何も聞いていない、エイルにも会ってない。知らない、何も知らない。というか、関わりたくない」
相当親方に恐怖心を抱いているのだろう、ラルフは両耳を塞ぐと知らないとばかりに明後日の方向に視線を向ける。といってエイルがラルフの行動を許せるわけがなく、首根っこを掴むとエイルは村長の自宅へ連れて行くことにする。その間、間延びした悲鳴が響き渡る。


