ある日のこと。
やっと6時間目が終わって、帰る用意をしていた時。


「中本。コンクールっていつ?」

「7月の最後だよー」

「まじ!?あと1ヶ月もないんだ!」

「そうだよー。だから、先生いつもより厳しい…」

「そっかぁ。まぁ、頑張れよ!」

「うん!ありがとー。」


こんな風に、最近隣の席の男子が、よく話しかけてくる。

今みたいに、部活のこととか勉強のこととか。

色々聞いてきて、頑張れって応援してくれるんだ。


「春人ー!部活行こー!」

「おう、翔磨!今行く!」


あ、今日もだ。

“隣の席の男子”こと、桜木春人は、黒く焼けた肌に短い髪がよく似合う、爽やかボーイ。

1年生の時も同じクラスだったけど、高山祭の借り物競争でバトンを受け取ったぐらいしか、関わりがなかった。


そんな桜木を、放課後いつも迎えに来るのが、翔磨だ。

同じバスケ部だから、一緒に行っているみたい。


2人は、1年生の時から仲が良かった。

だって桜木は、翔磨が声をかけて、初めて出来た友達だからね。


男子同士の友情ってよくわからないけど、ケンカしてるのを見たことがないし、本当に仲が良いんだな、と思う。