「な、なにが?」

「花火大会の時…こなの気持ち考えずに、抱きしめてごめん」

「あ、あぁ。そのこと、か…」

「うん。俺、あの後めちゃくちゃ後悔したんだ。本当にごめんなさい」

「…いいよいいよ!顔上げて…?」


そんな真剣な顔初めて見た。
必死に頭下げてる姿も初めて見た。


…やっぱり翔磨は、ずるい。

前まで怒ってた気持ちが、すぐに消えちゃって。
代わりに現れたのは、好きっていう気持ち。


女装したら女の子に見間違うぐらい、かわいくて、気が弱くて、消極的なくせに。

こんな時に、男らしくてかっこいい顔を見せて、私に惚れ直させるなんて。


「ほんと、ずるいなぁ」

「…え?」

「なんでもないよ!」


たぶん翔磨はわかってないけど、こんなギャップはずるすぎだよ。

でも、そんな翔磨が好きだよ。


もう、ずっと片思いでもいい。

だから、これからもこんな風に、普通に話がしたいなぁ…。