そんな毎日が続いてきたけど、気づけば今日私は高校を卒業する。
みんな、泣くのかな。
それとも笑って卒業するのかな。
「行ってきます」
この家で言う「行ってきます」も少なくなってきた。
卒業したら私は家を出て都会で2年暮らすからだ。
ちらりと都会で暮らす私を想像してみようと思ったけど、真っ白だった。

「もう卒業かぁ~」

「うん、そうだね」

いきなり車を運転していた母が話しかけてきてはっとする。

「学校生活、長かった?」
母親は真っ直ぐ前を見ながら質問してくる。
私はその姿をじっと見つめてから窓を見て答えた。

「それなりに長かったかな」

「そっかぁ……」

「でも、2年の時はそれなりに楽しかったな」

「何が楽しかった?」

「修学旅行かな、やっぱり」

「よかったね」

「うん。……お母さん」

「なぁに?」

「いつも駅まで送ってってくれてありがとう」

「…どういたしまして」

母が一瞬涙声になったのを私は気づかないふりをした。
母もそうしてくれたから。

本当に親にはたくさん迷惑かけた。
高1のとき、私が仲良くなった人の大半が学校を辞めていった。
そして独りになって、毎日が空白の日々になっていた。
そんなとき、何故かある日私は春に話しかけた。
直感でこの子とは仲良くできるかもしれないと思った。
そして、直感は間違いではなかった。
1年の時に春と留衣に出会い仲良くなり、そして2年になると友達が自然と増えていった。
美樹、優菜、理緒、と仲良くなった。

部活ではトラブルがあったとき母親が支えてくれた。
でも、結局は顧問の先生と同じ部活の子達とのトラブルで私は部活を辞めた。
1回だけ入ったことのある弓道部を、また入部したらすぐに部長に任された。それだけじゃなく、すべて部長に責任を押し付けた。私はそんな部活が嫌で仕方なかった。
なりたくて部長になったわけでもなく、ましてや実力があるわけでもない。一度入部したから部長。それが理由だった。
そんな適当な部活が嫌になった。それに同級生も1人はいたが、なんでもかんでも任せきりで、すぐに部活を終わらせて帰ってしまった。
その同級生というのは、美樹とトラブルにあった子である。
部活を一緒にしてトラブルになったのが納得してしまった。
彼女の話は昼ドラ並みにドロドロしていた。
簡単に言ってしまうならば、恋人の取っ替え引っ替えだ。
部活の時間、彼女はそればかりを話す。
私がしっかりしなきゃ、と思っていた時期は「そろそろ話やめようか」と言っていた。まともにやめてはくれなかったが。
帰ってくるなり部屋に行く私を母親は心配してくれた。
友達も励ましてくれた。
精神的に滅入りすぎたというのは、逃げなのだろうか……。

部活のことを除いて振り返ると、まぁまぁよかったんじゃん?なんて今は思える。