蒼「………怖いのね?」
伊「………」
蒼「一国の王子が、返事もできない?
もう一度言うわ。
『生きる者を殺める事が怖い?』って聞いているのよ!」
第二王子のクラフは、私が近衛騎士団にいた時に人を殺したことがある。
専属メイドを、自身の圧倒的魔力で殺めてしまった。
当時、クラフは5歳。
幼いクラフには、目の前で倒れたメイドの姿が怖かったらしく、大泣きしたと聞いた事がある。
「…………ッ!!!!
………ハハッ、情けないな。
その通りだ。俺は怖い。」
蒼「そうね。情けないわ……
貴方は、ミァトーク王国で最も魔力が高い第二王子なのでしょう?それなら、その魔力をフルに使えば良いじゃない。
貴方が"本当"に王子なら、誰も咎めたりしないわ」
貴方が皆の信頼を得て、王子らしい言動を取れば、誰も貴方を咎めたりしない。
仲間が死ぬのなら、先に守ればいい。
その魔力をフルに使って。
それに、死なせないために作戦を練ればいい。
蒼「怖いのは、普通よ」
だって、殺した者の人生を自分が背負わなきゃならないもの。それがどんなに重たくて、怖い事か………
それを怖いって言う貴方は、
情けないというより、
バカね。
伊「慰めてくれないんだな」
蒼「戦場が仕事場の私に、それを求めるかしら?
私は、慰める事なんてできないの。戦場は、殺し合う場所よ?甘くないの」
伊「…クスッ………ありがとな」
『ありがとう』ね……
私が貴方に言える立場じゃないのに…
そんな言葉、私が言われて良いような言葉じゃないのよ………
私は、臆病者だから……


