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「みっちゃんおはようっ!!!!」
朝学校に付くとにっこり笑った凛花が迎えてくれた。
その凛花に続いてみんなも朝の挨拶をしてくれる。
凛花はもうクラスのみんなと仲良くなったみたいで楽しそうに話してる。
凛花、もうみんなと仲良くなったんだ。
みんなに好かれる性格っぽいからなぁ。
すると凛花が人差し指を立てて提案した。
「親睦を深めるためにもさ、お昼みんなで食べよー!!
自己紹介もかねてさっ」
それに続いてみんなも賛成していく。
凛花のおかげでみんなと友達になれそう。
「ねぇ、まだ予鈴まで時間あるしガールズトークでもしようよ。」
その言葉に私は不安になった。
ガールズトーク=恋バナってイメージがある。
もし恋バナだったら私ついていけないな…
そうじゃないことを願ってるにも関わらず恋バナが始まってしまった。
「ぶっちゃけ凛花ちゃん彼氏いるでしょ?」
興味津々にそう聞いたのは紗友里さん。
紗友里さんは髪の毛は肩下ぐらいまでで顔は中の上って感じ。
特別可愛いってワケでもないけど入試テストが全教科95点以上だったって通りすがりの子たちが話してるのを聞いた。
相当頭いいんだなぁ。
「え?!私はいないよっ
出会いもないしー!!
そーゆー紗友里ちゃんはいるでしょ?」
「う、うち?
うちは───………」
そう言いながらちらっと視線をずらした。
その視線の先には友達と楽しそうに話している七瀬陽斗くんの姿があった。
顔はどちらかと言うとカッコいいって感じで背はあまり高くない。
でも顔からして優しそう。
穏やかって言うか。
それが七瀬くんの第一印象。
「え?!七瀬くんが好きなの?!」
「…実は……中学一緒で………」
「キャーーーーー!!!!」
廊下まで聞こえるような声で叫ぶので、耳が痛くなった。
でも頬を赤く染めてなんとか照れ隠しをしようとしている紗友里さんはとっても可愛く見えた。
…これが恋する女の子。
私にはほど遠い。
「実は私も松本くんのこと…」
「松本くんカッコイイもんねー!!」
話は私をおいてどんどん盛り上がる。
もうみんな恋してるんだ。
“キュン“とか“ドキッ“って気持ちもわかるんだ。
…楽しそうでいいなぁ………
そう考えるといきなりみんなと離れた場所にいるように感じて居心地が悪くなった。
そして気がつくと私は立ち上がっていた。
「…?どうしたのー?」
そう言われハッと我にかえる。
何してんの私………
みんな楽しんでるのに空気壊しちゃう。
「ごめんっトイレ行ってくる!
さっきから我慢してたんだよねー。」
「やだー美歌ちゃん汚いっ」
みんなに笑われて私も一緒に笑った。
…………無理矢理笑顔を作った。
廊下に出て私は笑顔を止め、ため息をついた。
なんか疲れる…
居心地悪いし話についていけないし。
不意に横から視線を感じて横に向くと見たことのある顔の男の子が私をじっと見ていた。
………何?
なんで私こんな見られてんの?
ってかこの人どっかで…
すると昨日の電車の出来事を思い出した。
「…あっ………昨日のっ…」
「…あぁ…たしかリップクリームの。」
この人同じ学校だったんだ。
言われてみれば制服が同じだったかも。
少しつり上がった目が印象的で、足は長くて背がとても高い。
何センチあるんだろ。
「昨日はお礼言えなくてごめんなさいっ
本当ありがとうございました。
それじゃっ」
一方的にそう言うとその男の子も軽く右手を上げて去っていった。
なんか不思議な人だな。
ってかなんで今私のことガン見してたんだろう。
顔になんかついてたかな?

